わからなくなってただ針落として
回らなくなってじきに日が落ちて
視界を失くして意識も落として
転がり込んだのさ
自由自在
いつだったかの時代の記憶の欠片を
縦横無尽に駆けずり回り
未来も宇宙もまるでチューインガムみたいにさ
一緒くたにして転がしていくのさ
自由
本当と幻想の上を
滑っては登る繰り返す何度も
混ざっては溶けて塗り変わる感情
煩悩の数を指折り数えて笑って
漏れ出した穴を塞いでは剥がして回る
肺にたまって、もう吐き出すだけの
煙のようにあやふやとして
上も無く、下も無く、形無く、命無く、
彷徨い、転がっていくのさ
自由
本能と欲望の上を
伸びゆく影が運河のように街を満たす
信号とテールランプがビルの谷間を照らす